CXOストーリー

【CEO】SHOWROOM 前田 裕二

【CEO】SHOWROOM 前田 裕二

アーティストやアイドルによるコンテンツ配信が無料で視聴でき、誰でもすぐに生配信が可能な'夢を叶える'ライブ配信プラットフォーム『SHOWROOM』。急成長する同サービスの運営会社SHOWROOMの代表取締役社長・前田裕二氏に、起業家としての心得や事業戦略について聞いた。
※本記事は2017年に実施したインタビュー内容を基に作成しております。


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起業家に必要な3大素養 - 原動力・想像力・仮説思考力

起業家に必要な3大素養 - 原動力・想像力・仮説思考力

壁をぶち破るのは原動力の強さ

 

――起業家にとって大事な3つの素養を挙げるとすれば何でしょうか?

 

たくさんありますが、あえて3つにまとめるなら、「原動力(モチベーションの源泉)」、「他者への想像力」、そして一つ一つの行動に仮説を持ち行動する「仮説思考の力」ではないでしょうか。

 

――詳しく教えてください。まず原動力というのは?

 

ベンチャーはキラキラした世界のように見えるかもしれませんが、実際には苦しい局面がかなりの頻度で訪れます。当然、楽しいことやワクワクすることもたくさんありますが、それを上回るチャレンジが連続して降りかかってきます。それを跳ね除けるのにはそれなりの馬力が必要ですが、その源泉があるのとないのとでは、苦境時の立ち上がりが大きく違うということです。

それはもしかしたら「モテたい」とか「将来金持ちになって馬主になりたい」といった身近なわかりやすいことかもしれないし、「社会に対して大きく貢献したい」といったことでもいいと思っています。なんでも構わないので、辛くなったときに寄り掛かれる何かが無いと、やっていけない。SHOWROOMにもこの3年のうちに、チームが崩壊寸前に追い込まれるようなヤバい時期が3、4回はありました。よくある社員の士気調査を行ってみると、スコアは本当にズタボロで、エンジニアとビジネスの間に亀裂が生じて組織が崩壊寸前しかけたこともあります。

そんな壁を乗り越えられたのは、チームメンバーのサポートや愛情も大きかったですが、自分自身を見つめると、やはり自分を突き動かす煮えたぎるような原動力があったからです。

 

 

前田裕二/1987年東京生まれ。2010年に早稲田大学政治経済学部を卒業後、外資系投資銀行に入社。2011年からニューヨークに移り、北米の機関投資家を対象とするエクイティセールス業務に従事。株式市場において数千億〜兆円規模の資金を運用するファンドに対してアドバイザリーを行う。その後、0→1の価値創出を志向して起業を検討。事業立ち上げについて、就職活動時に縁があったDeNAのファウンダー南場氏に相談したことをきっかけに、2013年5月にDeNAに入社。同年11月に仮想ライブ空間「SHOWROOM」を立ち上げる。2015年8月に当該事業をスピンオフ、SHOWROOM株式会社を設立。同月末にソニー・ミュージックエンタテインメントからの出資を受け、合弁会社化。現在は、SHOWROOM株式会社・代表取締役社長として、SHOWROOM事業を率いる。

 

いまも思い出す、小学校時代の「Aさん事件」

 

――前田さんにとっての原動力は?

 

幼少期の体験です。8歳で母親が亡くなり、家もなくなり、兄とともに幼馴染の家を転々としたり外で暮らす日々を過ごしました。その頃に見ていた光景やストレスが、いまの自分を動かす原動力の一つになっているのかなと思います。絶対に、課された運命に負けるもんか。むしろこの光景をバネにして、誰より高くまで上り詰めることで、努力で運命さえ変えられることを証明してやる、と。

自分を育ててくれた兄を喜ばせたいという思いから、「学校で良い成績をとれば喜んでくれるのでは?」という仮説を持った僕は、学年トップの成績を残せるまで勉強しました。ただ、どうしても超えられなかった同級生が一人だけいました。それがAさんでした。

Aさんは算数の授業中、まだ授業では一切習っていなかった素数の話を滔々と始めるんですね。なぜその子が素数について知っていたかといえば、単純に、通っている塾ですでに習っていたからです。

それが、なんだか異様に悔しかった。後天的な努力の差で負けるのであれば納得がいくけれど、先天的な条件の違いで知識の差が生まれたり、勝敗が決まるのはおかしいと、幼心に感じました。それは違うだろうと。それが後に自分の中で、「Aさん事件」と語られる大切な思い出になりました。笑

あの時のショック、コンプレックスをいまだに思い出すことがあります。自分より機会に恵まれた人に対して、自分は圧倒的な努力で、自ら機会を創り出して勝っていかないと、過去の逆境を正当化できないまま人生が終わってしまう。だからこそ、完膚なきまでに、圧倒的に成長して勝っていきたい。それが自分の原動力です。

だから、例えば夜の喫茶店で限界まで仕事をしていると、当時の光景が思い出されるんです。ふと眠りたいと思うことがあっても、「ここで休んだらAさんに、あの子に負けてしまうぞ」って。Aさんに、感謝せねばなりませんね。

 

苦しい局面でもついてきてくれたメンバーを大事にしたい

 

――組織崩壊の危機も「原動力」で乗り越えられたんでしょうか?

 

そうですね。それともう一つは、本気でSHOWROOMのみんなと一緒にやりたいんですよ。SHOWROOMの事業において、彼らのスキルが物理的に必要だからやりたいといったことを抜きにして、人間的に、感情的に、本当に一緒にやりたいんです。

例えば、組織崩壊の危機に瀕した時も、メンバーには素直にそれを伝えていました。あるメンバーが辞めかけた際にも、まず何よりエモーショナルな観点で、「自分はこういう価値観で、あなたはこういう価値観。ここまで互いの価値観が共鳴するメンバーって、広い世界の中でも、そうそう出逢えない。だから、僕は、これからも何があっても原則あなたとずっと一緒にやりたい」とストレートに伝えました。加えて、「ロジック観点であなたの価値観から逆算した将来の幸せを考えたとしても、離れるべきではない。理由は三つある。第一に…」と、ハードとソフト両面で懸命に説得したのを覚えています。きっと、何かトラブルがあった時こそ、互いが一人の人間同士として腹の底をぶつけあって、まっすぐ誠実に向き合うのが重要なんだろうと思います。そういった信頼関係を築いていけば、苦しい局面を経ても、メンバーが同じ船に乗り続けてくれる。そんな仲間を、一生大切にしたいと思います。

沸騰しそうなほど熱いモチベーションを保ち続けるための、揺るがない「原動力」はあるか。僕の場合は、それが、「運命に勝ちたい」という気持ちと、仲間の存在だったりします。それを突き詰め、日頃から自分自身に問い続けることが、起業家にとって不可欠な素養だと思います。

 

 


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ギターの弾き語りで身につけた仮説思考力

ギターの弾き語りで身につけた仮説思考力

「思いやり」こそ成長の母

 

――他者への想像力、仮説思考の力とはどういうことでしょうか?

 

他者への想像力は、もっと身近な言葉で言えば、思いやりと言い換えることもできるでしょう。サービスやプロダクトをつくる上でも、チームビルディングをする上でも、どれだけ相手を思いやるか、つまり、相手の目線に立って想像力を働かせられるかが、最重要だと思います。これは簡単そうで、できている人が多くない。自戒も込めて、この要素をあえて挙げたいです。

仮説思考の力というのは、PDCAを回す中でついていきます。仮説のないアクションは悪であって、1個1個の行動に、その時点での最善仮説を持てているかを強く意識しています。

 

――どうやってそうした能力を身につけられたのですか?

 

小学6年の頃、親戚にもらったアコースティックギターを片手に、駅前で弾き語りを始めました。

最初は1か月毎日やっても月に500円に満たない身入りでしたが、その後、仮説、アクション、そして改善に次ぐ改善をかさね、最終的には10万円以上のお金がギターケースに入るようになりました。CAGR半端なかったなと笑。それだけものすごい数のPDCAが回ったということですが、その過程でこうした能力を身につけていったのだと思います。

最初はオリジナル曲の方が付加価値が高いと思ってそればかりやっていたのですが、足を止めてくれる人はいませんでした。ただ、自分には、これによって食いぶちを得たいという、強烈なモチベーションがありました。お腹も減っていましたし、そんな精神的・肉体的苦しさから解放されるために、他者への想像力を自然と働かせるようになりました。

まず当時の僕がやったことは、道行く人が自分をどう見ているかを想像してみることでした。他者を動かしたいからこそ、「他者の目」を持とう、と思いました。

冷静に見つめてみると、決して小綺麗な格好はしていないし、そもそも相手が絶対に知らない謎のオリジナル曲を弾いているから、「この子に話しかけたら、CD買ってくれとか投げ銭しろとか言われそうだなー」って思われているだろうなと。

ならば、その警戒心を解くために、まずはカバー曲に切り替えました。知っている曲の方が、人の警戒心を外しながらも、注意や関心を引けると思ったからです。

これが、僕が他者への想像力を前提に考えた仮説思考で起こした初めてのアクションだったと思います。すると明らかに歩留まりが違った。そのことが面白くて。次々にPDCAを回していったのです。

次に立てた仮説は、道行く人が「おや?」と思うような「つっこみどころ」を何らか作れば、自分のコミュニケーション範囲まで人が入ってくる確率が上がるであろう、ということでした。

そこで看板にその日歌う予定のセットリストを書くことに決めました。「吉幾三」とか「村下孝蔵」といった、明らかに少年が歌っていたらおかしい曲を書いてみたんですね。そうしたところ、コミュニケーション範囲に来てくれるどころか、「なんで吉幾三なんて知ってるの?」と、お客さんから話しかけてくれる回数を飛躍的に増やすことに成功しました。

 

歌そのものではなく、コンテクストが感動をもたらす

 

ここで、また次のハードルが、立ちはだかります。通行人が立ち止まり、話しかける。ここまでは来ました。しかし、肝心な、「ギターケースにお金を入れてもらう」というハードルはなかなか超えられなかった。

そこで、浅く広く歌っていてもキリがないので、狭くても良いので深く誰かの心にぶっ刺さりする歌を歌わねば、ということで、ターゲットを絞ることにしました。例えば、マダムにターゲットを絞って、若かりし頃にはまったであろう、松田聖子さんの曲を歌っていたりもしました。この、どのオーディエンスに向けて歌っているのか、ということを都度明確に決めて歌う手法で、たくさん話しかけてもらったり、特にはリクエストをもらえたり、それなりに成果を上げることができました。しかしある日、リクエストに応えてすぐに歌ってしまっても、投げ銭してもらえるところまで到達しないことに気が付きました。

そこでまた、相手の立場に立って考えてみたんですね。プロや本人のクオリティレベルからほど遠い僕が歌う松田聖子自体に価値はない。聞き手にとって、自分ごとになっていない。もともとやっていた、リクエストに答えて、「その人のためだけに歌う」というのは、多分、方向性としてはいけている。しかし、もっと、only for you感を増すためにはどうしたら良いか。そこで思いついたのが、「リクエストを受けても絶対に歌わない」作戦。どんな曲をリクエストされても知らないふりをして、「えっ、白い…なんですか?」とか言ってメモしながら、「白いパラソルですね。絶対覚えてくるんで、1週間後の同じ時間にもう一回ここに来てくれますか」と伝えるんです。歌や演奏のうまさで感動させるのではなくて、その人のためだけに一定の時間をかけて本気で努力をしたという、歌の裏側にあるコンテクストやストーリーで感動をもたらせないか。そう考えました。

そうすると、1週間後に実際に歌ったときには、もはや歌のうまさとかは聞いていないわけですね。「1週間、どうやって練習したんだろう」「私のためにどれくらい練習してきてくれたんだろう」と、僕の演奏を、自分事として考えてくれるようになります。そうやって感情移入のレベルを上げていきます。

こんな経験を経て、課題にぶつかった時、つまり相手が自分の思うように動いてくれなかった時には、相手の目になる癖がつきました。何が嫌で、何が嬉しいのか。徹底的に考え抜くようになりました。

 

「他者への想像力」に富んだ最強のチーム

 

――SHOWROOMにはそうした考え方ができる人が揃っている?

 

嬉しい話があって、最近、特にSHOWROOMのメンバーって本当に思いやりがあるんだなって思わされることがあって。お客様や業界の方々から、言われるんですよ。

たまたま何かの会食で同席した、SHOWROOMを使っていただいているある人から、うちの担当者に対してどれだけ感謝しているかって熱い思いを2時間くらい語られて。

例えば、あるオーディションを企画した社員について。実際にSHOWROOMで実施したのは、その会社のあるドリンクのイメージガールを選ぼうっていうオーディションだったんですけど、「オーディションがどうすればうまくいくかってことだけじゃなくて、どうやったらそのドリンクのことを世間にもっと知ってもらえるかを誰より高い熱量で考えてくれたりして、毎日電話で話したりもして。うちの社員ですか? って思うくらいに親身に考えてくれて。なんであんなにうちのことを考えてくれるのかが不思議でしょうがない。今後あの人に何かあっても、絶対支えたいと思います!」みたいなことをすごく語られて。

その話を聞いた僕としても「あ、これは自分が褒められるより嬉しい」というレベルで、すごく嬉しかったです。自分が褒められるより嬉しいことって、あるんだなと。

 

――さっき起業家に必要な素養として「他者への想像力」を挙げてもらいましたけど、メンバーにもそういう頭を働かせながら仕事をしている人がいるってことですよね。それがSHOWROOMの強さの本質である、と。

 

本当にそこなんですよね。もちろん社内でも言い争いというか、お互いがある種の利害関係をぶつけている時も当然あるんですけど、それはそれで信頼関係を作るためには必要な作業だと思うんで、必要な時は、どんどんぶつかればよいと思っています。

ぶつかった後で、お互いの腹の底が分かって、本当の意味での相手に対する想像力が持てるなら、それはいいと思ってます。神様じゃないんだから、いきなりパッて相手に対して想像力を持てるなんて、そんなことなくて。ぶつかったりとか、お互いいいところを見合ったりとか、いろんな経験を通じて、その人と同じ皮膚感覚で、同じ目線が持てるようになっていくものだと思うんです。

そういう経験をしてきているからこそ、僕は「今日のインタビューは秋元さんでやってくれ」って言われたら、いますぐにでも秋元さん(康氏)モードにもなれるような気がします。守安(功氏。DeNA代表取締役社長)モードや、南場(智子氏。同会長)モードもあります笑。彼らだったらこう言うだろう、というプロトコルを、自分にインストールすることができるというか。他者への想像力、コミュニケーションというものを突き詰めてやっていくと、その人が自分に憑依したようなレベルで、気持ちが理解できるようになっていくと思います。

 

――どうやってそういうメンバーを揃えることができたのでしょうか?

 

もともと、そういった思いやり素養のある人を採用しているからというのが大きいのかなと思います。元々は採用時に、スキルと人間性を5:5、あるいはスキルを上に見ていたのが、今は、かなり人間性に比重を置いた形で見てますね。人間的に裏切らないかとか、信頼できるかとかいうのを。

以前、小学校2年からの同級生を採用したんです。僕の小学校からの同級生だから、スキル面はなんとなく想像ついていました。僕も含めてですが、そこまで賢い地域や学校の出身ではなかったので、そこはあまり実は期待していなかったのです。それでもなんで彼を採ったかといえば、SHOWROOMのビジョンに対する共感度がものすごく高かったのと、彼の人間性については、僕のお墨付きだったからです。

彼はもともと0歳から俳優をやってて、28歳になった時に俳優で食っていけなかったら支える側に回ろうって自分で決めていたそうなんです。そんな時にたまたま僕のFacebookのポストを見たらしいんですけど、「事務所に入って普通に俳優のサポートをすると2、3人程度しか助けられないけれど、SHOWROOMに入れば、もしかしたら自分はすごい数の、”夢はあるんだけれどもどうやったらいいかわからない”って人たちに、無限にチャンスを与えられるんじゃないか」って思ったと言ってくれて。

人間性については、僕が小学校2年生の時ってすごい闇を抱えていて、「近づいてきたら殺す」みたいな感じだったんですけど。笑

そんな僕に対しても「前ちゃーん」とか近づいてきて遊びに誘うような、そういうやつだったんですね。という彼だから、人間的にはめっちゃ信頼していて。それで大手を振って採用したわけなんです。

その彼が今、目をみはるほどの高いパフォーマンスを上げてるんですよ。他のメンバーもびっくりして「バックグラウンドなんなんですか?」って思うくらいに。俳優だから、プレゼン中に急に、AさんにもBさんにもなりきっちゃうんですよ。こないだもある大手レコード会社の役員会みたいなところで、50人とかいる前で彼がプレゼンして、スタンディングオベーションみたいになってましたし。

それくらい成長しているわけなんですけど、それは彼のスキルとかじゃないですよね。熱量や思いの強さが圧倒的なんです。僕の言った本とかも全てすぐ読んでくれるし、最初にうちに入ってきた時なんかは、トイレにも立たないんですよ。「僕は会社に対して全く貢献していないから、トイレに行く時間も申し訳ないです」って。

それはおかしいから行けよって話なんですけど、それくらいSHOWROOMでバリュー出したいとか、僕の顔に泥を塗れないとか、強い思いで、頑張ってくれている。

こんな感じで、それぞれがなんで入ってきたかとか、入った後どうだったかという「ストーリー」を話せるメンバーばっかりで。エピソードベースで僕が嬉々として語れるメンバーばっかりなんですよね。

 

 


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秋元康がパートナーに求める条件とは

秋元康がパートナーに求める条件とは

社員を「信じて任せる」

 

――前田さんは秋元康さんなどの大物と強いパイプをお持ちです。巻き込む力の源泉はどこにあるのでしょうか?

 

きっと複雑な事はなくて、全てはご縁を引き寄せる力かなと思います。本当に、強力な「運と縁とタイミングの重なり」によって、一緒にお仕事をさせて頂くようになりました。

そして、巻き込み力をあえて一般化してお伝えするなら、エモーションとロジックの2つの側面に分解できるかと思います。

まずはエモーション。秋元さんは以前、優秀かどうか以上に、絶対に裏切らないと信頼できるかどうかで、パートナーを決めていると話していました。その点で、自分自身、異常に義理堅い兄の教えを強く受けて育っており、何があっても仲間を絶対に裏切らないと言い切れるし、僕も逆にそういう人と仕事がしたい。きっと、ここに対して強いこだわりを持つ者同士が、惹かれ合うのだと思います。これがエモーショナルな意味での強みです。

次にロジック。こちら、「自分は、誰に対しても付加価値を出していける」という自信です。その自信を支えるのは、圧倒的な物量をこなしているという自負かもしれません。そしてそれができるのは、先ほどもお話ししたような強い原動力があるからです。

 

―― 一方で社員に対してのマネジメントで意識していることはありますか? 前田さんが自分と全く同じパフォーマンスをメンバーの方に求めるのは難しいという中で、どう任せていくのかというのには、たぶん「前田さん流」みたいなものがあるのではと思うのですが。

 

信じて任せる、僕はほぼ関与しないレベルで任せるというのを、結構やります。

というのも、例えば、SHOWROOMというプロダクトについて、いわゆるボタンはここにあってとか、仕様はこうで、とかいうことを当然初期においては自分がやっていて、それを離せない時期というのが僕の中にあって。1個1個の機能改善とかも、明確に仮説を持ってA/Bテストとかやらないと気が済まない、と。仮説構築のスピードとクオリティについては、絶対の自信があり、自分がやっちゃった方が早いって思っちゃってた、驕りの時代がありました。企画立案や渉外に関しても同様です。自分が出ていって話した方が、交渉成立確度が高い、と。

でも、会社がだんだん大きくなっていくにつれて、スタイルが変わってきました。今は意識的に、経営寄りの仕事を増やしています。一歩俯瞰して事業全体を眺め大戦略を描く。会社の顔として外に出て、仲間を増やしにいく。採用に対してとにかく時間を割いて、日々面接をする。SHOWROOMという船の中で自分が本当にフォーカスすべき仕事が見えてきた中で、自分1人の筋力でばたばたとオールを漕いでいても、この船は遠くに行かないな、って思ったんですよね。であればオール漕ぎは僕より筋力のある誰かにやってもらって、自分は帆の進め方を考える指令業務に時間を使えばいい。組織としてのスケーラビリティや、比較優位への意識がかなり強くなりました。

それで、投資銀行時代の「全部僕がやります」ってスタンスを変えました。だから今は、信頼してすごく任せています。むしろ、「本当にいいんですか、そんなに自由にやって?」みたいに相談を受けることがあることもあります。全然いいよ、と。自分なりに考えてみて、また教えてと。

 

社員のレベルをどう引き上げるか

 

――今おっしゃっていたように、前田さんがやっていたクオリティと、任せた社員の方のクオリティには残念ながら差があることもありますよね?それをどうやって埋めていくのでしょうか?

 

それこそLINEとかでクイックに、作った資料や企画書を送ってもらって、結構細かい粒度でマイクロマネジメントすることもあります。これもやっぱり仮説思考の話です。

例えば資料を作っていて、入れる文言を考える際には、それによって相手にどういう印象を与えるかとか、交渉上どういう風に有利になるかっていうことについての仮説があるわけですけど、それはなんなの?って聞きます。その仮説がない場合は怒るし、仮説があっても、それが見当違いな場合は教えるという感じです。

 

――単純に全て手取り足取りでっていうより、仮説はどういう風に持っているの?それを実行してみた?みたいなことを繰り返していって、徐々に仮説と実行についてのPDCAの意識を伝播していく、みたいなのが前田さん流ということでしょうか?

 

そうですね。でもまあ基本は「自由にやってくれ、何かあっても尻拭いはするから」と。予算もほぼNOって言わないですからね。急に「1億でこういうことやりたいです」って言われたらさすがに即答はしないけど、数百万規模で、「こういう商売してみたいんですけど」みたいな提案には、ほぼNOって言ったはことないです。

それで最初は、社員が逆にきょとんとしちゃうこともありました。「え?もっと検討されるのかと思ってた」と。でもそれって、そう思ってもらった方が、案件に責任感を持ってやると思うからなんですよね。これは自分が決めた企画であり、失敗できないな、絶対に成功させてやる、と。

相手によっては、僕があえてあまり中身を突っ込まずに、二つ返事でOKだよって言ってあげちゃうこともあります。これは、その人に対して全幅の信頼を置いているってメッセージになるので。その分、相当考え尽くした上での提案をくれないとだめですが。

 

ガラス張り合議型経営 VS 孤独なトップダウン経営

 

――経営でもう一つ気になるのは、情報管理についてです。フルオープンの会社もあれば、統制するような企業もあるじゃないですか。前田さん的に、情報を社員と共有する上で、気をつけてることってありますか?

 

これは超難しくて。僕の今の組織マネジメントにおける課題のトップ3に入るくらいなんですけど。だから逆にDIさんに教えてもらいたいくらい。笑

まだ全然うまくできていないんですけど、やっぱり、経営の中で、どうしても全員に伝えられない秘匿性の高い情報はあるし、意思決定の過程を全部透明にして、ガラス張りにして伝えられるかっていうと、難しいこともあります。だから社員の知らないところで意思決定されて出てきたとしても怒らないでね、組織ってそういうもんだよ、って意識が組織全体に広がらないと、経営効率は上がらないという側面もあります。ただし、意思決定プロセスに入ってもらった方が、アクション時の胆力やエネルギーが高いケースも多いので、やはりバランスが極めて重要です。このバランスがとても難しい。時折、スピーディーにトップダウンで意思決定を下さなければいけないこともあるわけですけど、そういう時、「それ全然知らないです。意思決定にぜんぜん参加してないですけど」ってことが社員のストレスになってしまっては元も子もないし。

難しいんですけど、そういう意味で気をつけていることとしては、チーム全体の成果を最大化するってとこにみんなの主座を置くのだとすれば、極端な話で言えば、僕が誰の相談もせずに、孤独に決めなければいけない意思決定もある。そういうものをちゃんと理解してもらう努力をする一方で、ある種みんなの合議制じゃないですけど、みんなの意見を取り入れるってことに関しては、例外を除いては最大限努力していくという、バランス感覚を養うことが大切なのかなと思いました。もちろん、もっと根底にある一番重要なことは、みんなとの信頼関係や、みんなに対する愛情や思いやり、だと思いますし、それ抜きで「俺の意思決定を信じろ」なんて、言えませんが。

 

 


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成長の本質は鉱脈の見極めにあり

成長の本質は鉱脈の見極めにあり

掘り始める前に、鉱脈を見極めろ

 

――ここまでSHOWROOMの人や組織面の強さをお話してもらいましたが、それ以外に最近の好調な売り上げ成長を支えている要素があるとすれば何でしょうか?

 

イシューを正しく設定する力かなと思います。特別なことはしてないんですよ。成長のために何が必要かを見極め、仮説を立てることに全力を注いだ。その仮説に沿ってとにかくやりきって、ここまできた。例えば、昨年からAKBグループとコラボさせていただいていますが、成長の背景は必ずしもそれだけではない。

僕らは、何が収益を突き動かすか、というのをずっと事業立ち上げ初期から科学してきていて、日々の膨大なPDCAを経て、今はかなり確からしい本質的な気づきに辿りついています。あとは、チーム体制を変えたことも大きいと思います。今の組織体制を去年の今頃に設計して、半年弱くらいかけてチームを作ったんです。

全体利益という目線を持ちつつも、ベンチャーノリのままわーっと自由にみんなが思い思いの動きをする、という感じだったのですが、昨年から個々人の比較優位を意識して、業務ごとの線引きをより明確にしました。当たり前ですが、得意分野って人によって違うな、と。今まではそのことをそこまで深く考えずに、釣ってきた魚は自分の魚なんだから、料理をして、お客さんのテーブルに提供するまで自分でやる、みたいな感じでやってたんですけど、それでずっと走っていて、バタバタと海とキッチンとレストランを行き来して、気づいたんですよ。これ非効率だな、と。気づくの遅いですね。笑

早く気づけよって話なんですけど、走ってる時は夢中で。お客さんがレストランにいるから夢中で走ってるんですよね。次のお客さんも来ていて待ってるし、早く釣りに行かなきゃ、みたいな。でもちょっと考えれば、提供が得意な人と、釣りが得意な人と、調理が得意な人ってそれぞれ違うから、そのチームを作ったほうが、スケールするよねっていう考えに行き着きました。

そして、去年から、料理を作るチームは料理を作ることに特化する、新鮮なネタを取ってくる人はそこに特化する、と切り分けて動くようになりました。今までは、漁師には、自分がこんな美味しい魚を釣って来たんだからこれは俺が調理するっていう矜持があったかのかもしれない。が、今は各部署が他部署のメンバーを信頼して、協働しています。僕にいたってはもはや、自分がやるよりみんなの方が料理うまいな、と思うこともあります。僕の想像以上の料理が出るから、みんなすごいなと驚くことも多いです。

以上のような体制を敷いて、それがワークして来たのが、去年の夏くらいなんですよね。それにAKBなどのコンテンツ戦略が上手く重なったというのが、成長の背景です。

 

――本当は中の方が大事なんですけど、みんな勘違いしている、と。

 

そうですね。コンテンツは、表に出ていて一見してわかりやすいですから、みんなだいたいそちらに目を向けてしまう。繰り返しですが、本質はチームの仮説思考・構築の力にあると思っています。「イシューから始めよ」という、安宅和人氏の有名な本がありますけど、それでいうところのイシュードリブンの考え方かなと。解くべき問題を速く正確に見つけるのが得意なんです。

例えば、宝の山が眠る鉱山を今から掘って、宝石を探り当てるレースをするとします。おそらくほとんどの人が「俺の筋力を見よ」って感じで、パワーで下から全部アナログに掘る、みたいなことをやる。掘ってる時は、自分でも仕事してる感すごくあるし、思考停止して掘り続ける。そんな中、我々は、掘らずに山の麓にある街の長老にヒアリングに行ったり、宝石のありかの地図や宝石探知機のようなものを探してきたり、まずは「見極め作業」に全神経を集中します。

その例えで考えると当たり前なんですけど、実際の仕事において、掘るべき場所はここだぞ、解くべき問題はここだぞ、ということをちゃんと見極めることにまず集中して、その後で掘ってるケースは、実はすごく少ないと思います。

 

――私たちの会社(DI)ではそれを「論点設定」って言うんですよ。おっしゃる通り、どこに問いを立てるかが極めて大事で。

 

なるほど、「論点設定」。かっこいいですね。使います。笑

僕自身も、SHOWROOMの全メンバーも、今後も論点設定から始めるスタイルを磨いていきます。掘る必要のない場所を掘っているほど、一人の人生には時間がないですから。

 

トップコンテンツの取り込みに対する周囲の反対

 

論点設定がなぜうまくやれるか。一つは、投資銀行の時の経験が生きていると思います。自分自身、日本株のリサーチセールスという仕事をやっていたので、おびただしい数の会社が持つビジネスモデルを研究して、なぜうまくいくのか、或いはいかないのか、というのを日々仮説検証する必要がありました。この投資銀行時代の3年間で、論点設定力が相当磨かれたと思っています。

もちろん我々の「日本発世界一のライブストリーミングサービス」という目標からすると、まだ1合目にも到達していませんが、ここまでのSHOWROOMの成長については、この論点設定の力がかなり効いていると思います。本質を見極めるスピード及びそのクオリティが高く、そして、見極めた後のドライビングフォース、原動力がとても強いって話しましたけど、そういうことだと思うんですよ。

例えば、AKBというトップコンテンツを入れた方がSHOWROOMは成長するはずである、という仮説があります。これに対して実は、当初意見が綺麗に分かれたんですよ。「今更になってトップコンテンツが入って来たら、今までの世界観が崩れるリスクがあるのではないか。SHOWROOMを独自の世界観で楽しんで使っている演者やユーザーからしたら、自分たちの遊び場を汚すな、といった感覚を持つのではないか」という意見も多く出ていました。

でも僕は実は、当時、「真逆だ」と言いました。見ていてくれ、と。自分なりに徹底的に仮説を立てた上で、あとは「これはうまくいく」という感覚があり、その最後の直感のようなものを自分自身、信じました。あるKPIが絶対に跳ねる自信があったのです。蓋を開けてみたら想定通りにそのKPIが伸びて、あ、仮説がハマる時って、めっちゃ気持ちいいな、と。この粒度の仮説が外れたことは、ほとんどないです。

 

誰よりも早く論点を見極め、パワフルに掘る

 

――投資会社や証券会社にいる時にいっぱいビジネスモデルを見て、それを元にこうじゃないかなって言う本質を見極める力をつけ、一方では自身の演者側の経験もあって、そうやって身につけた能力がいまに活きているということですか?

 

おっしゃる通りです。自分よりも若い、勢いある起業家と一緒に新規事業モデルの議論をするのが大好きなんですが、結構「その論点、その課題を解いてもしょうがないでしょ」みたいなことをよく口走っている気がする。

もちろんそれって僕がちょっと老害というか笑、彼らにしか見えてない世界があるわけだから、必ずしも仮説設計とか論点設定において僕が否定するのは違うな、と思います。ですが、少なくとも僕がピンとこない論点設定だった時に、僕が納得できるようなロジックというか理論武装をしていてほしいんですが、それも弱い時には、ちゃんと言います。

僕も結構、直感で「ここだ」って思うことが多いんです。自分でも思うんですけど、わりと右脳型なんですよね。でも、右脳って人とのコミュニケーションに使えないじゃないですか。それで後天的に左脳の力を身につけていて。自分が右脳的に「こっちだ」と思うところにみんなを巻き込んで導くために、ロジックとか仮説思考の力を借りてるって感じです。

常々口にしている「SNSの次に世界でブームになるのはライブストリーミングだ」というのも本当に思ってるんですけれど、誰かに自分と同じくらいにその命題を信じさせる裏付けロジックを完璧に作るのは正直にいうと難しくて。でも、それを説得しないといけない相手がいたら、多分全力で説得します。ソーシャルネットワークの次にライブストリーミングが来ると思っている理由は3つあって、とか言って。本当は3つなくても、とりあえず3つと言ったらいつも自分から3つ出てくるから。笑

なので、「自分はまだ本質見極め力とか論点設定力が弱いな」って思ってる起業家が仮にいたとしたら、先達というか先輩に聞いた方がいいと思います。この論点設定あってますかね?と。これはズルではない。

直感的にパッてわかるようになる為には、さっきの場数、ボリュームがすごく大事だと思っていて。一定量のボリュームをこなすまでは、とにかくわかる人に教わるしかないと思うんですよね。僕は株の仕事をしていた時も、デイリーベースの仮説もあったし、1週間くらいの仮説もあるし、1か月後のも、クオーターのも、1年のもあった。それぞれのタイムスパンでの仮説を日々検証しているわけで、そりゃあこれを続けていれば、仮説思考力つくよなって思ったんですよね。

でも論点自体が正しくても、掘り始めた時に身体が貧弱で、「ここに絶対埋まってるのにパワーが足りなくてたどり着かない」というような状況になったら、それはそれで悲劇すぎるので、もちろんちゃんと筋トレもしておく必要はあります。筋トレって大変じゃないですか。辛いし。でもなんで俺は筋トレしてるんだっけ、と。やっぱり、その辛い時に寄りかかる原動力が必要で、その熱量の大きさが、全ての源なのかなと思います。

誰よりも早く正しく論点を見極めて、他の人よりもパワフルに掘ることができる。それができれば、高い確率で成功する。ロジックとしては、シンプルにそういうことだと思います。

 

 


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本気で世界一を獲りにいく挑戦が始まる

本気で世界一を獲りにいく挑戦が始まる

世界中の格差を均等化するのがSHOWROOMのミッション

 

――日系企業の海外展開、海外についてはどんな想いがありますか?

 

想いベースでいうと、日本発の世界一の企業になるというのは思い続けています。これはSHOWROOMとしてやらなければならないミッションという単位でもそうだし、SHOWROOMの事業理念も「世界中の格差をエンタメの力で均等化したい」という価値観に立脚しているので。

そして僕自身としても、小さい頃にいろんな逆境があった中で、どうやってその逆境、あるいは、一見逆境と見えることに対して、それをどうjustifyするかと考え続けてきました。あれは不幸なのではなくて、僕が世界を変えるために、マストで体験しておかないといけないことだったんだと、これは自分のミッションなんだと、正当化したいんですよね。自分で運命の正当化の旅をしてる。

そうした運命の正当化をするためには、僕らはやっぱり明確に、それは僕自身のエゴになっちゃうかもしれないですけど、世界一を取りたい。

SHOWROOMは、日本のライブストリーミング界でこそ、今の規模のプレゼンスを作れていますが、その先には、やっぱり世界一を取りたいですよね。

時価総額、マーケットキャップで語るのは拝金主義的で良くないよねって指摘を時折受けることもあるんですけど、それでもなお、僕らは資本主義社会に生きている中で、やっぱりマーケットキャップって大事だと思っていて。時価総額トップ企業を上から並べると、日本勢の姿が見えないっていうのは、純粋に悔しいです。生まれてから今まで、僕を育ててくれた日本、こんなに好きな日本が、ここまでボロ負けしているのは、心底、悔しいなって思う。その悔しさや苦しさをバネに、絶対に勝ってやると。強く、思っています。

 

心の底から信頼できるローカルパートナーとの協業が鍵

 

――その上で課題になると考えていることはありますか?

 

課題として感じていることは、3つあります。

1つはパートナー探しですね。中国とかアジアは特にそうなんですけど、誰もかれもが嘘をついてるんじゃないかみたいに疑心暗鬼になっちゃうというか、性悪説に立って仕事をしなくちゃいけないみたいなところがあるかと思います。本当に信頼できるローカルパートナーを見つけるのが難しい。一見良さそうな人はたくさんいるんだけれども、どのタイミングで、信頼の太鼓判が押せるのか。ここが課題だと思ってます。

2つめに、外資規制がある国は本当に難しいと思っています。また中国の話になりますが、FacebookやGoogleが排除されている現状を見ても、結局、中国で勝てるかどうかはかなりそこに依存してると思っていまして。外資規制の壁を超えて、それでも中国で成功するためには、多分1点目の優良なローカルパートナーを見つけて組むことが重要になるだろうと思ってます。

3つめには、意外な観点かもしれないんですけど、「宗教」が難しいと思ってます。例えばインドネシアでライブストリーミングプラットフォームを作ってマーケティングをしたいって相談をある人にした時に、「牧師さんを使うべきだ」って言われて。「牧師さんがインフルエンサーなんだ」と。何気にSNSで500万人くらいフォロワーがいたりして、インフルエンサーとして、自分の話した経典の中身をテープとかで売っていたりするんだよと言われて、え、そんな感じなんだ笑、と衝撃を受けました。

一方では、一緒にミーティングをしていた人が歩いていてツバを吐くから「何をしてるの?」って聞いたら、「ラマダンが始まったからだ」と。敬虔なムスリムの人ってツバも飲まないんですね、ラマダン中って。感覚がわからん、と。ユーザーと同じ肌の温度になれないマーケットで、本当に勝てるのか。宗教の違いが人の思考・行動様式の違いを大きくもたらす中で、無宗教国家の我々からすると、海外においては十分に想像力を働かせられない部分が多いことに課題を感じています。

 

ビジネスは結局「思いやり」を持った人が勝つ

 

結局、サービスの作り方のコツも、チームビルディングの話も一緒で、相手方に対してどれだけ想像力を持てるかだと思ってるんですよ。結論としては、結局精神論みたいになってしまって申し訳ないのですが、世の中は思いやりが全てだと思ってるんです。自分が相手だったら何が気持ちいいかなって考えるのは社内もそうだし、社外もそう。もちろんユーザーに対してもそうだし、多分恋愛においてもそう。人間関係はだいたいそうで。

だからITってテクノロジーっぽく見えて、実は人間の思いやりみたいな泥臭い、あったかい部分が一番重要な、極めて人間臭い事業分野だと思っています。だからこそ人間的に色々な経験をしている人が価値がある。テクノロジーがどうとかじゃないんです。

再現性高くITサービスを作って勝てる人っていうのは、他者への想像力とか思いやりのある人だろうなって思います。

その点、日本人こそ、そこは勝たなきゃダメでしょって思ってるんですよね。こんなにサービスに優れた国はどこにもないし。一歩先に回って相手の考えを予測して手を差し伸べてあげる文化って、世界的にも本当に誇れるものですから。

だから、結局ローカルパートナー探しの話に戻るんですけど、ローカルなユーザーへの想像力を持てる、信頼できるパートナーを見つけられれば、海外展開もきっとうまくやれると思ってます。

 

 


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全ては自分のコンパスを見つける事から

全ては自分のコンパスを見つける事から

まずは自分の世界観を持ってほしい

 

――最後にこれを読んでいる起業家や起業家になりたい人たちにメッセージがあればお願いします。

 

メッセージか……。それこそ、本記事の読者という「他者」への想像力を発揮しにくいからちょっと難しい。その人のパーソナリティが分かっていれば、的確なメッセージを提供できる自信があるんですが。

それでもあえて言うなら、「自分の世界観や信念をもつこと」。じゃあ前田の信念はなんなのかというと、繰り返しお伝えしている通りなんですけど、僕は「運命正当化の旅」という信念を持っています。人ではなく、運命と戦う。自分自身に降りかかってきたネガティブなあらゆる事象をむしろバネにして、正当化して、乗り越えていきたいという思いがあります。

SHOWROOMに何があっても絶対に折れない、負けないって思うのは、根底に僕のそういった原体験とか、煮えたぎるような信念があるからだと思っています。そういう意味では僕からのメッセージは、自分をしっかり見つめて、確固たる世界観を持って欲しい、ということです。

 

――それは起業家個人としての?

 

理想はもちろん、個人と会社の両方です。というのも、そもそも何らかの形で「幸せになるために」起業してるわけですよね。

これは社員に対しても言うんですけど、社員が事業に貢献してくれるかどうかよりも、もっと大事なことがあります。それは、「その人の人生自体が幸せかどうか」ということ。会社の幸せより、個人の幸せが先、と思っています。

だから例えば「アメリカのXXXって勉強会に行きたいんです」とか社員が言ってきた時に、そこで学んだことがSHOWROOMにアウトプットとして出てくるのは何年後になるか分からないし、出てこないかもしれない。でもそれは関係なくて。SHOWROOMとしてはその人の人生が幸せになることを最大化したい。なぜかといえば、人生いろんな選択肢がある中で、わざわざここを選んでくれたっていう縁や、それに対する感謝があるからです。

先ほどの起業家の話でいうと、自分の人生の中にいろんな選択肢がある中で起業するって道を選んでいるわけで、それはなんらかの効用を追っているわけじゃないですか。とすると自分の人生にとっての幸せはなんだ、と。自分の人生においての物差しとかコンパスはなんですかっていう。事業は抜きにして、そういうものをまず構築してほしい。そっちが絶対大事です。

事業から来ちゃうと、「あれ?気づいたらなんで俺はこんなB向けのサービスをやってるんだっけ?」とか、ふと思いたち、立っていられなくなることもあるかもしれません。もちろん、事業モデルがなんだとしても儲かればいいんですっていう価値観があるってことに気づいて、自分はその価値観だと決めて動くんであればそれはOKだと思います。が、それがないと、きっと、どこかでぶれてしまいます。

だから僕の話を聞いて、「ああ、事業を成功するには仮説思考が大事なんだ」とかじゃなくて、まずは人としてあなたには何が幸せなんだい?と問うてほしいです。

 

自分にとっての幸せと事業が紐づいた時、起業家は最高にハッピーになれる

 

その上で言うなら、読者の方がこのインタビューにたどり着いているってことは、なんとなく直感的になのか、深く考えた結果なのか分からないですけど、自分の人生において幸せはこれ(=起業家としての道を歩むこと)、と思っているわけですよね?

必ずしもそうじゃないこともあるでしょうけど、自分の価値観と事業が紐づいたら、こんなに幸せなことはないです。いま僕は幸いにもそういう状態になれているから、心からの生き甲斐のようなものをすごく感じていて、高い幸福度の中で仕事ができています。

SHOWROOMのある世界とない世界で、世界の景色や、誰かの人生が変わるんだって、日々感じられる。このことがここまで幸せに思えるというのは、SHOWROOMが果たしている価値が、僕個人が社会に対して果たしたい価値と、綺麗に合致しているからなんだなと、思っています。

なので、とにかく内省を深めてほしいっていうのが、なんかおじさんっぽくて嫌なんだけど、、僕からのメッセージです

 

 

下平 将人

筆者 : 

下平 将人

法律事務所、LINE株式会社の社内弁護士(リーガルカウンセル)、新規事業開発を経てDIに参画。DIでは、ベンチャー投資、投資先の経営支援に取り組み、投資先企業の社外取締役等を務める。東京弁護士会所属弁護士。Arts and Lawに所属しクリエーターの無料法律相談を担当。チャレンジングな事業領域に挑戦する起業家と汗をかき、共に理想を追い求め続ける存在でありたい。

下平 将人

筆者 : 

下平 将人

法律事務所、LINE株式会社の社内弁護士(リーガルカウンセル)、新規事業開発を経てDIに参画。DIでは、ベンチャー投資、投資先の経営支援に取り組み、投資先企業の社外取締役等を務める。東京弁護士会所属弁護士。Arts and Lawに所属しクリエーターの無料法律相談を担当。チャレンジングな事業領域に挑戦する起業家と汗をかき、共に理想を追い求め続ける存在でありたい。