CXOストーリー

肩書きで仕事を選ぶな。五常・アンド・カンパニーCFO 堅田航平のキャリアから学ぶ成長術(第4話)

肩書きで仕事を選ぶな。五常・アンド・カンパニーCFO 堅田航平のキャリアから学ぶ成長術(第4話)

「自分が圧倒的に成長できる環境に行きたい」「共感できるビジョンに向かって働きたい」「CxO・経営層を将来は目指したい」とベンチャー・スタートアップ転職に興味はあるものの、なんとなく不安を感じて一歩を踏み出せていない方も多いのではないでしょうか?

CAREEPOOLでは先駆者である「急成長スタートアップCxO」の方々へのインタビューを実施。大企業からスタートアップへ転職する際に気をつけるべきポイント、CxOに必要なスキルやマインドセット、スタートアップで働く醍醐味などについて紹介していきます。

今回はDIMENSIONも含めた投資家から42.2億円のシリーズC資金調達を発表し、「民間版の世界銀行」を目指す五常・アンド・カンパニー株式会社CFOの堅田航平さん。ライフネット生命、スマートニュースなど、名だたるスタートアップで財務責任者やCFOを務めてきた同氏にお話を伺います。(全5話)


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常に「個人商店」を経営している意識を持つ

ーーこれまでのキャリアでどのような意識で働いてこられたか、お聞かせください。

 

モルガン・スタンレーではM&Aアドバイザリー部門に2年半ほど所属しましたが、1番良かったのはクライアントもしくは上司を「個人商店のお客様」と考え、彼らが何を必要としているかを先読みし、自分のベストのサービスを提供する「個人商店を経営する意識」を持てたことです。

 

M&Aアドバイザリーといっても、面白い案件にアサインされないと経験を積むことはできません。2年がかりで取り組んでも案件が不成立となることだってあります。

 

私の場合はITバブルの崩壊や銀行の不良債権問題がクローズアップされた時運も重なり、2年半の間に14件ものM&Aに関与することができました。運が良かったこともありますが、ひとつひとつの仕事に対して、クライアントや上司のニーズを理解した上で良い仕事をすることを心がけていたことも評価されたのだと思います。

 

私はこれまで起業家になったことはなく、ずっと雇われ人それも裏方であるコーポレートの仕事を多くやってきましたが、今でも「個人商店」のオーナーの意識で常に自分にとってのクライアントが誰かを考え、どういうサービスを提供すべきかを考えて仕事をしています。これは短い期間でしたが、寝食忘れて仕事に打ち込んだ投資銀行で叩き込まれたマインドだと感じています。

 

 

ーーそこからなぜヘッジファンドに転職されたのですか?

 

入社2年目に担当した巨大金融グループ同士の合併案件が転換点でした。

 

合併に関する基本合意の発表の後、モルガン・スタンレーのクライアントとは別の金融グループが対抗提案を公にし、統合の是非を株主の判断に委ねる買収合戦となったのです。そして争奪戦を繰り広げているうちに、対象企業の株主に多くのヘッジファンドが顔を並べるようになり、有利な統合比率を引き出すべくプレッシャーをかけるようになります。

 

「もの言う株主」と言うと日本ではネガティブなニュアンスがありますが、「ものを言わない株主」の方が、その権利と受託者としての責任を放棄しているだけのように思います。この案件に関わったことで、投資家側の仕事にも興味をもつようになり、そんなタイミングで、声をかけてもらったOch-Ziffというヘッジファンドの香港オフィスで2年半ほど働きました。

 

 

ーーヘッジファンドでの経験についてもお聞かせください。

 

資産運用は長くても1〜3ヶ月スパンで自分のやったことに対して一定の結果が出る、すごくエキサイティングな仕事でした。痛い失敗もたくさんしましたが、フィードバックループが早いこと分、いち早い成長にもつながりました。

 

一方で、ヘッジファンドの仕事はかなり「個人プレー」です。私は、小学校はサッカー、中学高校はバスケ、大学はラクロスと、いつも「チームスポーツ」を好んできましたし、チームで力を合わせて何かを達成することのほうが楽しいと再確認しました。

 

 


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「肩書きなし」でベンチャーに転職

ーーライフネット生命ではどのような仕事に携わられたのですか?

 

規制業種ならではの規制当局向けのレポーティングに加え、株主と協業して売上を伸ばす事業開発が最初の至上命題でしたね。部下はゼロ。給与もヘッジファンドの頃に比べて1/3以下。がむしゃらに働きました。

 

売上の勢いがついてきたので当初予定よりも上場タイミングを早めることになり、上場準備の責任者を兼務しました。上場準備チームを作り、見様見真似でなんとか組織体制を構築し、2012年3月に無事株式公開することができました。

 

上場後には執行役員CFOに就任し、商品開発、資産運用、海外でのジョイントベンチャー立ち上げなどを経験させていただきました。

 

 

ーー6年間ほどライフネット生命で働かれたのち、スマートニュースに転職されますね。

 

きっかけはエージェントの紹介でしたが、たしか「資金調達の相談を」ということで、レジュメも持たずにオフィスに行ったんです。そうしたら、目力のやたらと強い鈴木健さんが出てきて(笑)。

 

「民主主義のプラットフォームを作るんだ」と熱っぽく語っていたのが非常に印象的でした。SmartNewsはローンチ初期から愛用していたアプリでしたが、機械学習による新しい発見のあるコンテンツのレコメンド、徹底的にこだわり抜かれたUI、そして世界中にプロダクトを届けるという展望について話を聞かされて、その完成度の高さの理由がよく分かりました。

 

私はもともと本やネット記事を読むのが大好きでしたが、ページビュー偏重の流れの中で、じっくりと腰を据えて良質なコンテンツを作り出す書き手のインセンティブが失われかねないことに問題意識を感じていました。

 

また、バングラデシュのNGOでインターン中、大人向けの識字教育について農村部でヒアリングをしたことがあるのですが、大人になってから読み書きを身につける重要な動機の一つが、「新聞を読めるようになりたい」というものでした。人は誰しも、自分のまわりの世界で何が起こっているのかを踏まえて日々の意思決定をしたいという原始的な欲求があるのだと思います。ニュースには人の知的好奇心を刺激する大きな力があります。

 

なのでスマートニュースの「世界中の良質な情報を必要な人に送り届ける」というビジョンにすごく共感しました。

 

2014年4月にスマートニュースに飛び込みますが、その時も「肩書きなし」で入社しました。

 

 

ーーライフネット生命で上場やCFOも経験された後に、「肩書きなし」でまた挑戦する姿勢が素晴らしいです。

 

入社当初からCxOといった肩書きを与えることは、組織全体からするとその人の能力値が成長のキャップになってしまう危険性も内包しているように思います。CxOはその分野における会社の責任者なので、一般に、それ以上の力量がある人を採用しにくくなるからです。

 

スマートニュースのビジョン・ミッションを実現するための道のりを考えたとき、当時の私では圧倒的に力が足りないと感じていました。入社して半年ほどの間、「上司探し」のためシリコンバレーでシリアルCFOに何人も会いました。

 

会社が本当に達成したいものに対して最適なチームを組成することが最優先で、そのためであれば自分のタイトルは何だって良いと個人的には思っています。

 

 

ーー肩書きを求めて転職する人や、肩書きをニンジンにして採用を行うベンチャーも多いのが実態です。

 

大仰な肩書きが無いと優秀な人材を雇えないと思っているなら、その会社のビジョン・ミッションに人を惹きつける魅力が不足している可能性が高い。また、最初から肩書きを強く求めて入社してくるような人は、組織の成長を阻害してしまう可能性が高い。

 

なのでベンチャーにおいて、肩書きで人を引きつけること、肩書きを強く求めてくる人を採用するのは基本的にご法度だと思っています。転職する側も肩書きではなく、目指すビジョンや経営者に共感できるかを大切にして企業選びをしてほしいですね。

 

 

>第5話「目指すは「チーフファイヤーファイター」!?五常・アンド・カンパニーCFO 堅田航平が考える「CFOの役割」」に続く(3月上旬予定)

 

 

平重 克樹

筆者 : 

平重 克樹

感性デザイン工学専攻で大学院修了後、株式会社NTTドコモに入社。NTTドコモでは、IoT/AIを軸とした、デバイス・アプリケーションの両面から経営課題にアプローチするビジネスコンサルティング業務に従事。建設業界の働き方改革・生産性向上に寄与するIoTソリューション事業(デジタルトランスフォーメーション:DX)の新規立ち上げを行う。また同時に、オープンIoTプラットフォームを展開する4社JVのインキュベーション支援業務に携わる。MWC Barcelona 2018・2019出展。 その後、株式会社ドリームインキュベータ(DI)に出向。DIでは国内ベンチャー投資・上場支援に取り組む。また、国内1号ファンド「DIMENSION」の立ち上げに関わる。

平重 克樹

筆者 : 

平重 克樹

感性デザイン工学専攻で大学院修了後、株式会社NTTドコモに入社。NTTドコモでは、IoT/AIを軸とした、デバイス・アプリケーションの両面から経営課題にアプローチするビジネスコンサルティング業務に従事。建設業界の働き方改革・生産性向上に寄与するIoTソリューション事業(デジタルトランスフォーメーション:DX)の新規立ち上げを行う。また同時に、オープンIoTプラットフォームを展開する4社JVのインキュベーション支援業務に携わる。MWC Barcelona 2018・2019出展。 その後、株式会社ドリームインキュベータ(DI)に出向。DIでは国内ベンチャー投資・上場支援に取り組む。また、国内1号ファンド「DIMENSION」の立ち上げに関わる。